診断基準について
慢性腎臓病の診断
一般的には、慢性腎臓病(CKD)は①尿検査、画像診断、血液検査、病理などで腎障害の存在が明らかであり、特に0.15g/gCr以上のタンパク尿(30mg/gCr以上のアルブミン尿)がある、もしくは、②糸球体濾過量(GFR)<60ml/分/1.73m2の①、②のいずれか、または両方が3か月以上持続することで診断します。
血清クレアチニン値、年齢、性別からおおよその糸球体濾過量(GFR)として、18歳以上であれば推算糸球体濾過量(eGFR)を計算でき、その値からも診断することができます。
注意 |
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推算糸球体濾過量(eGFR)は、どれくらい腎臓に老廃物を尿へ排泄する能力があるかを示しており、 この値が低いほど腎臓の機能が悪いということになります。 eGFRは健康診断で測定するケースもあるので、健診結果を確認してみましょう。 |
計算式
eGFR(ml/分/1.73m2)=194×Cr-1.094×年齢(歳)-0.287 (女性は×0.739) |
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慢性腎臓病の重症度分類
慢性腎臓病(CKD)重症度は、原因(Cause:C)、腎機能(GFR:G)、タンパク尿(アルブミン尿:A)によるCGA分類で評価します。下記の分類表は日本腎臓学会が2012年に発表した「CKD診療ガイド2012」に基づいています。
これ以前は、慢性腎臓病の病期(ステージ)はGFRで区分される腎機能のみを示しましたが、下表のように腎臓の働きの程度と、糖尿病や高血圧など腎臓病の原因となっている病気や尿タンパクの状態と合わせて評価することで一層の正確性や診断の妥当性が増します。
原疾患 | 蛋白尿区分 | A1 | A2 | A3 | ||
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| 尿アルブミン定量(mg/日) 尿アルブミン/Cr比(mg/gCr) | 正常 | 微量アルブミン尿 | 顕性アルブミン尿 | ||
30未満 | 30~299 | 300以上 | ||||
| 尿蛋白定量(g/日) 尿蛋白/Cr比(g/gCr) | 正常 | 軽度タンパク尿 | 高度タンパク尿 | ||
0.15未満 | 0.15~0.49 | 0.50以上 | ||||
GFR区分 (ml/分/1.73m2) | G1 | 正常または高値 | >90 | ● | ● | ● |
G2 | 正常または軽度低下 | 60~89 | ● | ● | ● | |
G3a | 軽度~中等度低下 | 45~59 | ● | ● | ● | |
G3b | 中等度~高度低下 | 30~44 | ● | ● | ● | |
G4 | 高度低下 | 15~29 | ● | ● | ● | |
G5 | 末期腎不全(ESKD) | <15 | ● | ● | ● |
重症度は原疾患・GFR区分・尿タンパク区分を合わせたステージにより評価する。
CKDの重症度は死亡、末期腎不全、心血管死亡発症のリスクを
緑■ のステージを基準に、黄■ ⇒ オレンジ■ ⇒ 赤■ の順にステージが上昇するほどリスクは上昇する。