PDファースト、PDラストとは

PDファーストとは、透析治療をまず腹膜透析（PD）から始め、PDのメリットを十分に生かした後に血液透析（HD）へ移行するという治療選択です。
腹膜透析の最大の特徴は、透析開始後も血液透析に比べて長期間尿が出ることです。PDファーストによってできるだけ尿量を保ち残存腎機能を保持することは、透析患者の予後に好影響をもたらすと言われています。また、最近では前尿毒症期に低頻度、低容量でPDを開始することが、残存腎機能の長期保持と日常生活動作の低下の抑制に役立ち、長期的視点での快適な治療生活につながると期待されています。

透析の長期化や加齢に伴って、心血管系の合併症やシャントの血管不足などさまざまな要因で血液透析での透析が困難になったり、自力での通院が難しくなったりするなど、血液透析療法を続けることが患者や家族の生活の質（QOL）の低下につながる場合があります。透析医療の終末期のひとつの手段として、柔軟性が高く身体的負担の少ない腹膜透析を選択する方法をPDラストといいます。
高齢者にとってPDは、心血管系への負担が少ないこと、残存腎機能が維持できること、少ない透析量でも可能なことなどがメリットです。