透析施設での血液透析は週3回、1回4時間程度が標準的と言われています。しかし、1日24時間働いている腎臓の働きに近づけるために、透析時間をより長くしたり、回数を増やしたりする方法があります。このほかにも、自宅に透析機器一式を導入して患者自身で透析を行ったり、より多くの老廃物を除去する方法など血液透析にはさまざまな種類があります。これらは、担当医や透析施設の方針によって治療の可否が分かれる場合もあるため、担当医などとよく相談し、希望する治療法を選ぶことが大切です。
週に18時間以上の透析します。週3回なら1回6時間以上、隔日なら1回5時間以上といったスケジュールで行う透析です。透析時間を延ばして十分な透析を行うことで、より多くの老廃物が排出されたり十分な除水が行われたりします。血圧が正常値となって降圧薬が不要になる患者や、貧血が改善して造血ホルモンの使用量が減ったり、リンやカリウムの吸着薬が減量、不要となる患者もいます。また、時間をかけて緩やかに除水することから、急激な血圧低下を防ぐことができ無理のない透析につながります。
患者さんの声
緩やかに除水できる長時間透析 しっかり食べて、しっかり透析
京都府 吉村規男さん 63歳(透析歴22年)
透析時間:1回7時間×週3回
透析導入当初は4時間の透析でしたが、私は大柄で筋肉量も多いことから1年ぐらい経ったときに5時間の透析に変更になりました。そのうち、長時間透析のほうが生命予後が良いと聞いたことや、通院している透析施設が長時間透析を実施するということだったので、自ら希望して6時間、7時間とだんだん延ばしていきました。冷静に考えると7時間というのはとても長く、透析日の午後はほとんど自由がききませんが、私の場合は4時間からスタートして徐々に時間を延ばしていったので自然な流れでした。
長時間透析は除水が楽です。最近は1時間あたり400mlまでしか除水していません。緩やかに除水できるので体調の変化が少ないですね。中2日の月曜日でもドライウエイト(透析後の体重目標値)になっていますよ。
透析中の過ごし方は、透析スタートの午後4時から5時までは透析施設が実施する運動療法(自転車漕ぎ=ペダル運動)に取り組み、5時から6時は持ち込んだタブレットで読書や音楽を楽しみます。6時から7時はテレビを見ながら食事、7時から10時ごろまで寝て(たまにはテレビも見ています)、10時から終了の11時までは再びテレビを見るという感じです。透析も20年経つと体調の波はそれなりにありますが、精神的にはクリアな毎日です。
私は「しっかり食べて、しっかり透析」がモットーです。食事ではなるべくいろいろな食材を食べるようにしていて、リンやカリウムもさほど気にしていません。そして、できるだけ歩くようにしています。透析を始めてから、透析をプラスに考え、今日やれることは今日やる、社会の役に立てることをする、いろいろな意味で汗をかく、という考えを大切にしています。
透析時間:1回7時間×週3回
透析導入当初は4時間の透析でしたが、私は大柄で筋肉量も多いことから1年ぐらい経ったときに5時間の透析に変更になりました。そのうち、長時間透析のほうが生命予後が良いと聞いたことや、通院している透析施設が長時間透析を実施するということだったので、自ら希望して6時間、7時間とだんだん延ばしていきました。冷静に考えると7時間というのはとても長く、透析日の午後はほとんど自由がききませんが、私の場合は4時間からスタートして徐々に時間を延ばしていったので自然な流れでした。
長時間透析は除水が楽です。最近は1時間あたり400mlまでしか除水していません。緩やかに除水できるので体調の変化が少ないですね。中2日の月曜日でもドライウエイト(透析後の体重目標値)になっていますよ。
透析中の過ごし方は、透析スタートの午後4時から5時までは透析施設が実施する運動療法(自転車漕ぎ=ペダル運動)に取り組み、5時から6時は持ち込んだタブレットで読書や音楽を楽しみます。6時から7時はテレビを見ながら食事、7時から10時ごろまで寝て(たまにはテレビも見ています)、10時から終了の11時までは再びテレビを見るという感じです。透析も20年経つと体調の波はそれなりにありますが、精神的にはクリアな毎日です。
私は「しっかり食べて、しっかり透析」がモットーです。食事ではなるべくいろいろな食材を食べるようにしていて、リンやカリウムもさほど気にしていません。そして、できるだけ歩くようにしています。透析を始めてから、透析をプラスに考え、今日やれることは今日やる、社会の役に立てることをする、いろいろな意味で汗をかく、という考えを大切にしています。
隔日や連日で透析します。隔日透析では例えば、月・水・金・日・火・木・土といった透析スケジュールになり、休日である土日も透析日にあたるのですが、ウィークデーのみの透析スケジュールだと必ず発生する非透析日の中2日が出ないため、よい体調を維持しやすいというメリットがあります。
夜間の睡眠時間を利用して7~8時間透析します。一般的に21時~23時ごろから透析を開始し、朝の5時~7時ごろまで行います。透析を開始して寝てしまえば、透析時間を短く感じます(体感透析時間は1~2時間ぐらいともいわれています)。長時間透析となるので、緩やかな除水ができ、透析中の血圧が安定したり、より多くの老廃物が除去できるといったメリットがあります。また、就業している患者にとっては日中の就業時間を確保できるというメリットもあります。
透析施設と同じ機器を自宅に設置し、医療施設の指示に従って自分で透析を行います。在宅血液透析を行うには、患者および介助者が医療施設において十分な教育訓練を受ける必要があります。好きな時間に透析をすることができ、回数も自由に決められるので頻回や長時間の透析も可能です。現在、日本で在宅血液透析を行っている患者は全透析患者の0.1%(2012年末調査)調査ですが、年々増加傾向にあります。
在宅血液透析の治療効果として、合併症の減少、心機能の向上、むずむず脚症候群(レストレッグス症候群)やかゆみの軽減など体調の良好化が挙げられます。透析前に行う機器の準備から自己穿刺、透析中の機器や体調の管理、透析後の片づけなど透析施設が行うことを全て自分で行うため、自己管理や自己決定がきちんとできる方に向いています。また、透析中は必ず身近に介助者がいることが義務付けられています。
在宅血液透析の治療効果として、合併症の減少、心機能の向上、むずむず脚症候群(レストレッグス症候群)やかゆみの軽減など体調の良好化が挙げられます。透析前に行う機器の準備から自己穿刺、透析中の機器や体調の管理、透析後の片づけなど透析施設が行うことを全て自分で行うため、自己管理や自己決定がきちんとできる方に向いています。また、透析中は必ず身近に介助者がいることが義務付けられています。
患者さんの声
在宅血液透析との出会い
神奈川県 男性 64歳(在宅透析歴3年6か月)
※在宅血液透析導入前は血液透析16年6か月
私が在宅血液透析治療(HHD)を知ったのは13年ほど前です。当時、横浜市腎友会の役員をしていましたが、あるとき役員会が終わって談笑していると、YさんからHHDを「見に来ない?」と誘われ、数人で訪問しました。新築間もないお宅の7~8畳の独立した部屋に、透析治療の電動椅子を中心に透析機と水処理装置が配置され、いかにも「治療室」然としていました。後から聞くと、新築時にHHDを意識して間取りなど設計されたとのこと。当時、クリニックで6時間透析をしていた私には無理かな?自分には関係ないかな?などと感じたことを思い出します。ほどなく、県腎友会活動に関わるようになり、活動の関係で頻繁に透析日を変更しなければなくなり、医師からサテライトである近くのクリニックへの転院を勧められました。転院の受け入れ条件が4時間透析だったので、それまでの6時間を4時間に変更してみて、改めて6時間透析の重要性やHHDの有用性に気付いたのです。
それから10年、基幹病院である元の病院の先生にお願いしたり、サテライトの先生を介して多くの関連する先生方にもHHDの指導をお願いしましたが、願い叶わず月日が流れました。この間には、HHD指導管理施設の条件緩和もあり、簡単に受け入れていただけるものと思っていましたが…。7年経ったころ、我慢できずHHDをいつでも導入できるように自宅居間を改築して準備を進めたものでした。
幸いなことに、腎友会の青年部の方が長時間透析に通う病院で、HHDの指導をしていると教えてもらい、臨時透析として2週間6回の自己穿刺を経験する中で、HHDへの移行を強く願い、再度の転院を許可いただき、以降、2年半ほどのHHDを大過なく継続して現在に至っています。今は毎日、寝ている間に8時間くらい透析をしています(※)。体調は非常に良く、ぜひ多くの人にHHDの良さを知ってほしいです。
※HHDのオーバーナイトは医師の許可があれば可能です。
※在宅血液透析導入前は血液透析16年6か月
私が在宅血液透析治療(HHD)を知ったのは13年ほど前です。当時、横浜市腎友会の役員をしていましたが、あるとき役員会が終わって談笑していると、YさんからHHDを「見に来ない?」と誘われ、数人で訪問しました。新築間もないお宅の7~8畳の独立した部屋に、透析治療の電動椅子を中心に透析機と水処理装置が配置され、いかにも「治療室」然としていました。後から聞くと、新築時にHHDを意識して間取りなど設計されたとのこと。当時、クリニックで6時間透析をしていた私には無理かな?自分には関係ないかな?などと感じたことを思い出します。ほどなく、県腎友会活動に関わるようになり、活動の関係で頻繁に透析日を変更しなければなくなり、医師からサテライトである近くのクリニックへの転院を勧められました。転院の受け入れ条件が4時間透析だったので、それまでの6時間を4時間に変更してみて、改めて6時間透析の重要性やHHDの有用性に気付いたのです。
それから10年、基幹病院である元の病院の先生にお願いしたり、サテライトの先生を介して多くの関連する先生方にもHHDの指導をお願いしましたが、願い叶わず月日が流れました。この間には、HHD指導管理施設の条件緩和もあり、簡単に受け入れていただけるものと思っていましたが…。7年経ったころ、我慢できずHHDをいつでも導入できるように自宅居間を改築して準備を進めたものでした。
幸いなことに、腎友会の青年部の方が長時間透析に通う病院で、HHDの指導をしていると教えてもらい、臨時透析として2週間6回の自己穿刺を経験する中で、HHDへの移行を強く願い、再度の転院を許可いただき、以降、2年半ほどのHHDを大過なく継続して現在に至っています。今は毎日、寝ている間に8時間くらい透析をしています(※)。体調は非常に良く、ぜひ多くの人にHHDの良さを知ってほしいです。
※HHDのオーバーナイトは医師の許可があれば可能です。
血液透析(HD)と血液濾過(HF)の併用型で、血液濾過透析(HDF)という療法です。HDFでは、濾過する量を増やすために補液をし、血液透析より濾過を多量に行うことで、血液透析では除去しにくい低中分子蛋白といわれる物質を取り除くことができます。HDFにはオフラインとオンラインの方法がありますが、オンラインHDFのほうがより多くの老廃物を除去できます。オンラインHDFの治療効果として、関節痛、かゆみ、不眠、イライラ感、むずむず脚症候群(レストレスレッグ症候群)、透析アミロイドーシスの軽減などが学会で報告されています。
なお、オンラインHDFの長期的効果についての根拠は確立していませんが、今後5~10年にわたって透析療法を継続する可能性が高い方においては、長期的効果が期待できるのではと考えられています。また、透析中に血圧が低下しやすい方にも向いているといわれています。一方、シャントの状態がよくない、血流量が十分に得られない、栄養状態が悪いといった方にとっては不向きといわれています。
なお、オンラインHDFの長期的効果についての根拠は確立していませんが、今後5~10年にわたって透析療法を継続する可能性が高い方においては、長期的効果が期待できるのではと考えられています。また、透析中に血圧が低下しやすい方にも向いているといわれています。一方、シャントの状態がよくない、血流量が十分に得られない、栄養状態が悪いといった方にとっては不向きといわれています。
患者さんの声
オンラインHDFでかゆみや顔色が改善
島根県 稲田 豊さん 60歳(透析歴39年)
透析時間:1回6時間30分×週3回(夜間)+4時間(土曜・昼間)
職業:臨床工学技士
私は長年、より多くの老廃物を除去できるオンラインHDFを続けてきましたが、平成22年度の診療報酬改定時にHDFの保険点数が設定され、それに伴ってHDF用の機器が認可のものだけに限定されることになりました。当時、私が通っていた透析施設にはその機械がないという理由で、その年の10月にオンラインHDFが中止されました。
それから2か月経ったころからかゆみが出始めました。そのうち血圧が上がり、血液中のヘモグロビン(Hb)やヘマトクリット(Ht)の値が下がってきて、これを改善するためのエリスロポエチン製剤を増やしてもなかなか改善されず、周りのみんなには「顔が黒くなってきた」と言われるようになってしまいました。血流を増やしたり、時間を延ばしたりしてもあまり効果がなく、1年半が経過した平成24年5月、このままではだめだと思い、37年間通った施設からオンラインHDFができる別の施設に移ることにしました。
再びオンラインHDFに戻って2か月目ころからかゆみが少なくなってきました。その後は血圧が安定し、ヘモグロビンやヘマトクリットも上昇してエリスロポエチン製剤はいらなくなりました。最近では、職場の同僚も「皮膚の色が良くなって、すべすべしてきたね」と言います。体調も良く、全国を飛び回っています。個人的な意見ですが、オンラインHDFに変わって良かったなと思います。
透析時間:1回6時間30分×週3回(夜間)+4時間(土曜・昼間)
職業:臨床工学技士
私は長年、より多くの老廃物を除去できるオンラインHDFを続けてきましたが、平成22年度の診療報酬改定時にHDFの保険点数が設定され、それに伴ってHDF用の機器が認可のものだけに限定されることになりました。当時、私が通っていた透析施設にはその機械がないという理由で、その年の10月にオンラインHDFが中止されました。
それから2か月経ったころからかゆみが出始めました。そのうち血圧が上がり、血液中のヘモグロビン(Hb)やヘマトクリット(Ht)の値が下がってきて、これを改善するためのエリスロポエチン製剤を増やしてもなかなか改善されず、周りのみんなには「顔が黒くなってきた」と言われるようになってしまいました。血流を増やしたり、時間を延ばしたりしてもあまり効果がなく、1年半が経過した平成24年5月、このままではだめだと思い、37年間通った施設からオンラインHDFができる別の施設に移ることにしました。
再びオンラインHDFに戻って2か月目ころからかゆみが少なくなってきました。その後は血圧が安定し、ヘモグロビンやヘマトクリットも上昇してエリスロポエチン製剤はいらなくなりました。最近では、職場の同僚も「皮膚の色が良くなって、すべすべしてきたね」と言います。体調も良く、全国を飛び回っています。個人的な意見ですが、オンラインHDFに変わって良かったなと思います。