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透析治療を受けている方

オンラインHDFを行っている患者さんの声

オンラインHDFでかゆみや顔色が改善

島根県 稲田 豊さん 60歳(透析歴39年)
透析時間:1回6時間30分×週3回(夜間)+4時間(土曜・昼間)
職業:臨床工学技士

私は長年、より多くの老廃物を除去できるオンラインHDFを続けてきましたが、平成22年度の診療報酬改定時にHDFの保険点数が設定され、それに伴ってHDF用の機器が認可のものだけに限定されることになりました。当時、私が通っていた透析施設にはその機械がないという理由で、その年の10月にオンラインHDFが中止されました。

それから2か月経ったころからかゆみが出始めました。そのうち血圧が上がり、血液中のヘモグロビン(Hb)やヘマトクリット(Ht)の値が下がってきて、これを改善するためのエリスロポエチン製剤を増やしてもなかなか改善されず、周りのみんなには「顔が黒くなってきた」と言われるようになってしまいました。血流を増やしたり、時間を延ばしたりしてもあまり効果がなく、1年半が経過した平成24年5月、このままではだめだと思い、37年間通った施設からオンラインHDFができる別の施設に移ることにしました。

再びオンラインHDFに戻って2か月目ころからかゆみが少なくなってきました。その後は血圧が安定し、ヘモグロビンやヘマトクリットも上昇してエリスロポエチン製剤はいらなくなりました。最近では、職場の同僚も「皮膚の色が良くなって、すべすべしてきたね」と言います。体調も良く、全国を飛び回っています。個人的な意見ですが、オンラインHDFに変わって良かったなと思います。

APD:自動腹膜灌流透析の患者さんの声

就寝中の腹膜透析 仕事や旅行の制限を感じませんでした

東京都 女性 64歳(腹膜透析7年、血液透析5年)
12年前の春のこと、半年ほど前から検査数値が急に悪くなりはじめて、残業すれば頭痛がするし、1、2か月前からは通勤時に息切れするようになっていました。それでも「もう透析を具体的に考えましょう」と言われると、本当にショックでした。絶望感が強かったです。腹膜透析と血液透析の説明を受けましたが、とても悲しくて、良く理解できたか怪しいです。ちょうど3月末でしたので、仕事を続けるために腹膜透析を選択しました。フルタイムで働いていたので、自分なりに考えて血液透析では難しいと思ったからです。説明を受けてから1か月後の5月の連休を利用して腹膜透析を導入しました。腹膜透析では最初にカテーテルの挿入手術が必要なのですが、私は術後の痛みが2、3か月と長く続き、その期間は通勤も辛かったです。でも痛みがなくなって、気が付くと体調も良くなっていました。

私の場合は、主に寝ている間に機械を利用して行うAPD(自動腹膜灌流透析)でしたので、普通に勤務を続けることができました。保存期の後期よりはるかに体調も良く、会議や残業も平気でした。月2回ほど通院しました。若いころから、季節ごとに国内小旅行に行くのが習慣でしたが、導入後も変わらずに行っていました。1泊くらいなら透析液と透析液を温めるための加温器とカテーテルを繋ぐ器具を小さなスーツケースに入れて、ガラガラと引いて行きました。数泊する場合は、依頼すれば透析液の業者がAPDのための機械や透析液を直接ホテルへ届け、回収もしてくれました。

体調が良くなって、多分意欲的になったのでしょうか、通信教育で心理学の勉強もしました。スクーリングも問題なく参加できて、若い人との交流を楽しむことができました。腹膜透析しながら7年間勤務を続けたのち、退職して血液透析に移行しました。

腹膜透析は水分やカリウムなどの制限がいくぶん緩いので、食事の負担感はほとんどありませんでした。しかし、いずれ血液透析へ移行することを考えていたので、塩分に気を付けたり、水分の摂り過ぎにも注意しました。大好きな果物も、一度にたくさん摂らないよう習慣づけていきました。

腹膜透析ではおなかからカテーテルが出ているのがやはり不便ですし、出口感染の不安がいつもあります。気を付けていても、体調不良なときに感染することがあり、いつもカテーテルの状態に注意し、何かあればすぐに病院に行く必要があります。

腹膜透析を導入した病院には患者会がなかったので、私は個人会員として東京腎臓病協議会に入会しました。そして勉強会や交流会にはなるべく参加するようにしました。活動内容は血液透析療法のことが中心ではありますが、いずれ血液透析に移行する時のために、勉強して情報を集めることが大事だと思ったからです。

これから透析治療を受けることになる方にとっては、ある程度予想をしていても、いざ導入となると不安が大きく、みじめな気持ちになるかと思います。それでも透析というしっかりした治療を受けられるのですから幸運なのではないでしょうか。良い病院・クリニックを選んで、自己管理にも留意していけば、十分に生活を楽しむことができます。仲間はたくさんいます。一緒に頑張りましょう。

長時間透析の患者さんの声

緩やかに除水できる長時間透析 しっかり食べて、しっかり透析

京都府 吉村規男さん 63歳(透析歴22年)
透析時間:1回7時間×週3回

透析導入当初は4時間の透析でしたが、私は大柄で筋肉量も多いことから1年ぐらい経ったときに5時間の透析に変更になりました。そのうち、長時間透析のほうが生命予後が良いと聞いたことや、通院している透析施設が長時間透析を実施するということだったので、自ら希望して6時間、7時間とだんだん延ばしていきました。冷静に考えると7時間というのはとても長く、透析日の午後はほとんど自由がききませんが、私の場合は4時間からスタートして徐々に時間を延ばしていったので自然な流れでした。

長時間透析は除水が楽です。最近は1時間あたり400mlまでしか除水していません。緩やかに除水できるので体調の変化が少ないですね。中2日の月曜日でもドライウエイト(透析後の体重目標値)になっていますよ。

透析中の過ごし方は、透析スタートの午後4時から5時までは透析施設が実施する運動療法(自転車漕ぎ=ペダル運動)に取り組み、5時から6時は持ち込んだタブレットで読書や音楽を楽しみます。6時から7時はテレビを見ながら食事、7時から10時ごろまで寝て(たまにはテレビも見ています)、10時から終了の11時までは再びテレビを見るという感じです。透透析も20年経つと体調の波はそれなりにありますが、精神的にはクリアな毎日です。

私は「しっかり食べて、しっかり透析」がモットーです。食事ではなるべくいろいろな食材を食べるようにしていて、リンやカリウムもさほど気にしていません。そして、できるだけ歩くようにしています。透析を始めてから、透析をプラスに考え、今日やれることは今日やる、社会の役に立てることをする、いろいろな意味で汗をかく、という考えを大切にしています。